後日譚

「やあ、桜くん」 放課後の通学路。何の前触れもなくふらりと、長い金髪に派手な黒尽くめの男が現れる。 「!――……なんだ、山瀬か」 桜が一瞬体を強張らせ、脱力する。 普段の山瀬相手ならば致命的な隙。 「なんだとは酷くない?…

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7日目

世界滅亡の日の朝は、嫌に静かで、嫌にいつも通りだった。 体を起こす。ジャージのポケットから、かさりと音がした。 ……紙? 取り出して、枕元に置いておいた眼鏡をかけてそれを見る。一昨日、図書館で見つけたメモだった。 確かに…

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6日目

目が覚める。 お馴染みになりつつあった悪夢を、今日は見なかった。 ……決して悪いことではないのだけれど、と傍らにあったスマホを見る。 時が止まった。 ザ・ワールド。 十時三十分。 待ち合わせ時間三十分前。 ……本当に時が…

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5日目

頬を何かが伝っていた。また夢を見た。酷く嫌な夢を見た。……いや、嫌な夢ではない。あれは……酷く、悲しい夢だった。そんな気がした。夕暮れの観覧車で、桜を強く抱きしめていた。嫌だ。そう言ったのは、多分俺だった。変えられない運…

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4日目

目を覚ます。 ばくばくと心臓が痛い程に鳴っている。その鼓動を、何処かで聞いたことがある。 悪い、夢だ。あんなのは、ただの悪い夢だ。 観覧車のような、外がよく見える狭い場所の中に、いたような気がする。 夕焼けの空、外は赤々…

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3日目

目が覚める。背中がじっとりと湿ったような感覚。 また、悪夢を見たのだろうか。ずきりずきりと、頭も嫌な感じに痛む。 ベッドに座ったまま、両手で顔を覆う。 あれは、どこだろうか。千羽市の町並みが一望できる高い場所の、夕暮れの…

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2日目

目が覚めると、背中がぐっしょりと汗で濡れていた。 また、悪い夢だ。 夕暮れの空。誰かを呼ぶ、自分の切羽詰まった声。フルートのような音色も聞こえていた気がする。 何か嫌な予感のする、そういう悪い夢だった。 ……二日連続で悪…

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1日目

……酷い夢を、見た気がした。 寝巻きに着ていたいつものTシャツが、汗でびっしょりと濡れている。 酷い酷い、悪夢を見た気がした。 どんな夢だっただろうか。夢の内容は今ひとつ思い出せない。 ただ。夕焼け空がよく見えるどこかに…

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