俺と彼女の暗殺行-8

「聞いたか、聖王都の大聖堂焼けちまったんだってよ」「アレ焼けたのか!? ……絶対に崩れも焼けもしないで一〇〇年後にも存在しつづけてそうだったんだけどなあ……」「大司教とその側近も死んじまったんだってよ」「そりゃまた……神…

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俺と彼女の暗殺行-7

……誰も来ない。何も反応がない。見張りすらいない牢獄で、それが延々と続くかもしれないという恐怖がじわじわと心を侵す。……諦める気はないが、脱出する手立てがまるでない。世の中には関節を外して狭い場所を通れる奇術師がいるらし…

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俺と彼女の暗殺行-6

腕の激痛で目を覚ます。両腕が壁に固定されていた。よく見れば足元も鎖で繋がれている。「……うっすら予想はしてたが、これが古い友達への仕打ちか?」白金の後ろ姿に話しかけると、ナルニアはゆっくりと優雅に振り向いた。「おや、目を…

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俺と彼女の暗殺行-5

教会の裏庭で槍を構える。眼前には即興で作った練習用のターゲット。筒に枝を挿し直すだけで、簡単に再利用が出来る。まずは槍の間合いから一歩離れた距離。フローレアの町でやっていたように、狙う高さを変化させながら、基本に忠実な槍…

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俺と彼女の暗殺行-4

夜通し、可能な限りの速度で、竜車を走らせ続けて丸一日。村らしき物が見えたのは、日が落ちようとする頃になってからのことだった。村と外を分ける壁どころか、柵すらもない。というか、建築物すらパッと見では辺りのゴツゴツとした地形…

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俺と彼女の暗殺行-3

白い朝日が登ったばかりだというのに、往来には人が沢山いた。竜車もちらほらと走り始めている。宿から少し離れた通りに出ていた屋台のホットドッグを頬張りながら、レイラは不機嫌そうに頬杖をついている。「二回目の鐘ってのはいつ鳴る…

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俺と彼女の暗殺行-2

ガタゴト、ガタゴト、と竜車が街道を進んでいく。昨日の出発時から変わらず、ヴィンスが御者台、レイラが荷台。レイラは相変わらず白錫草の上で仰向けになって、目を閉じている。長い金色の髪と顔立ちと相まって、何かの絵画のようだった…

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俺と彼女の暗殺行-1

冒険者ギルドの入り口を、十文字槍を背負った茶髪の男が慣れたように潜った。幾つかの視線が男に集まって、すぐに興味を失ったように散る。そんな周囲に若干苛つきながらも、男は特に何も行動を起こさない。中級冒険者の証明である鉄色の…

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